前回、ハイスぺ既婚者たちとのアウェー戦で、倫理観がバグり始めていた平井。
気を取り直して後編に突入です!
焦り始める私
美男美女。ハイスペック。
節々から教養と経済力がにじみ出ている紳士淑女たちを前に、変な人たちじゃなくて良かった~とある意味安堵していた私。
しかしその反面、脳裏をよぎるのは上司の顔。
(このままでは帰れない……)
会社の経費でここに来ている私。
「みんな良い人たちでよかった~」で帰ることは許されないのです。
そんな焦り始めていた私に言いたい。
大丈夫。あと数分で主役級のヤバイやつ、来るから。
ちゃんとヤバイやつ来た
私が行ったパーティーでは数十分単位で目の前の男性が移動していき、席が近くなった人と自然に話すようなシステムになっていました。
彼が私の目の前に現れたのは開始一時間くらいの時。
彼はUさん(33)総合商社勤務
奥さんと1歳のお子さんと都内で三人暮らしなんだそう。
「なんでヒトミちゃんはここ来たの~?(笑)」
「うーん。既婚者合コンってどんな感じなんだろうって、興味あってですかね」
「旦那さんもう飽きちゃった?(笑)」
「いや旦那のことはちゃんと好きですよ!!!!!」
架空の旦那をなぜか守りたくなっている私。
今振り返ってもよくわかりません。
「Uさんは奥さんとはどんなかんじなんですか?」
「ん~~仲良くはないかな~(笑)」
「結婚してから彼女作ったりしたことは?」
「いや~俺がそういうのあるように見える?(笑)意外と真面目なのよ(笑)」
ここ(既婚者合コン)まできて見栄はる意味は一体何なんだ??
あと語尾の(笑)も多すぎるぞ!!!
Uさんは俗にいえば正統派イケメンです。
この勘違いパフォーマンスを繰り広げてもなお、モテてきたんだろうな…
「ヒトミちゃんって一番好きだった元カノに似てるわ(笑)」
「ぶっちゃけ欲求不満でここ来てるでしょ?(笑)俺もそうだからわかる(笑)」
「旦那さんがうらやましいわ~(笑)俺だったらこんなとこ絶対行かせないよ(笑)」
「俺ひとりで借りてるマンションあるんだよね。こっから近いよ!(笑)」
(・・・席替えまだか)
「はーーい!では連絡先を交換して次の席に移動してくださーーい!!」
(なんなんだあんたの元気も…)
勘違い男の攻撃にやられ、司会者のハイテンションにすら疲れ始めた私。
残り30分。試合は大詰め!
独身探偵、悲しき運命
次に私の前に座ったのは、先ほどと打って変わって物静かなEさん。
「実は妻が不倫してるかもしれなくて、あまり家に帰ってこなくなっちゃたんですよね」
「え!?Eさんはなんでここに…」
「今日友達に誘われてきてるんです。特に目的はないんですけど」
「俺たち子供もいないから、まあお互い自由にやってた方がいいのかなとも思いますよね」
世の中には本当に色んな人がいる。
完全に取材モードになっていた私の元に、ひとつ開けて隣の席から届くUさんの声。
「めちゃくちゃ綺麗ですね!僕年上好きなんですよ!(笑)」
「あははやめてくださいよ~」
Uさんは光のような切り替えの速さで美熟女を口説いていました。
「てか元カノに似すぎててビビりました(笑)」
「もう~誰にでも言ってるんでしょ~」
そうです、誰にでも言ってます。
いやいいんだけどね。あんたなんてクソほどどうでもいいんだけどね。
なんでこんな男が結婚できて、私は結婚できないんだろう。
心に空いた無駄な風穴。
なんなんでしょうか。この気持ちは。
帰り道にも潜む罠
終了時刻になり、司会の人の誘導で男性から退場します。
これは二次会に繋げやすくするための工夫なのかな?
よく考えられたシステム!
会場の外では何個かグループができていて、やはり二次会に行くような雰囲気になっていました。
ひとつのグループに声をかけていただきましたが、用事があると言ってお断りして駅に向かいます。
既婚者とこれ以上接触する義理はありません。
一人なんとも言えない気持ちで駅に向かっていると、Uさんが正面からこちらに向かって歩いて来ます。
「探してたよ~今から二人で飲みに行きましょう!」
(いや、美熟女連れて会場出て行った後ろ姿。私見てましたけど)
彼は美熟女にフラれてしまったのでしょうか。
まあ酸いも甘いもわかった良い女が、こんな能天気な男に引っかかるわけないよな…
もちろん丁寧にお断りして、私も帰宅です。
既婚者合コンって、結局なんだったの?
こうして無事、既婚者合コン潜入調査は終了しました。
既婚者合コン、一言でいえば「既婚者同士の息抜きの場」っていう雰囲気。
みんな「もし良い出会いがあれば…」くらいのかんじで、恋人は探しているみたいだったけど、そんなに目をギラつかせているような方はあまりいませんでした。(一部除きますが)
そして参加者たちにはいくつか共通点が。
・基本的にみんな上品
・経済的な余裕がありそう!堅い仕事に就いてる方も多い
・恋人にするなら同じ既婚者がいいと考えている
そして会場でよく聞いたのは
「人生は一度切り」「自分の好きに生きた方がいい」
という言葉。
うん、その通り。
でもさ、あなたたち。
パートナーと子供にもそれを堂々と言えるんですか!?
ゾッとした後日談
翌朝起きるとLINEに新着メッセージ。
「ヒトミ。今家着いたよ」
「ヒトミ。おやすみなさい」
「ヒトミ。出会えて、よかった」
「おはよう!今日は何してる?(笑)」
(Uさんか…)
私の行った会場では進行役の方が連絡先を交換する時間を取るので、半強制的にお互いの連絡先を知ることになっていました。
(昨日疲れてそのまま寝ちゃって、ブロックするの忘れてたな…)
ん?
ふと見たUさんのLINE背景画像には、綺麗なホテルでシャンパングラスを傾けるUさんの写真が。
あのね、これ昨日連絡先交換した時点では、子供のお宮参りの時の写真だったんです。
なんだか不倫脳の神髄をみたようで少しゾッとした私は、そのままUさんのメッセージを削除して、ブロック。
既婚者合コンで繰り広げられる「同じ穴のムジナの男女交際」は、独身偽装などに比べればまだマシなのかもしれない。
しかし大切な人を裏切っていることに一切変わりはありません!
白昼堂々こんな集まりが本当に開催されていることに、正直驚きを隠せなかったけど、改めて「不倫する側の心理」を学ぶ良い経験になったかなと思います。
世の中には信じられないようなことが本当にたくさんあるんだね…